ミナミヌマエビの飼育に当たっては、別に発泡スチロールのような容器さえあれば、後は水を注いで何もしなくても繁殖してくれます。
ただ、やはり何かしらソイルのようなものを底面に敷いておいたほうが、より自然環境に近づきますし、水質も安定して、ミナミヌマエビにとっても適した飼育環境になる事になります。
ソイルなどは高いですから、格安の赤玉土をホームセンターで購入してきて、それをミナミヌマエビの水槽に投入すれば、屋外水槽限定にはなりますが、大変安定したミナミヌマエビの水槽になります。
赤玉土自体が、大きな土の塊ですから、その隙間にミナミヌマエビが隠れるような状態になり、特に安心感がある状態もなります。
室内水槽で赤玉土を利用する事はおすすめできませんので、もしされる場合は全て自己責任でされるようにしてください。ろ過装置の破損であったり、水質の悪化、メンテナンスの複雑化の問題で、それならソイルを敷き詰めたほうが良いでしょう。
しかし、赤玉土よりも優れた、ミナミヌマエビ用のソイルのようなものがあり、それを使うと、ミナミヌマエビの繁殖に加速がかかりますし、水草も元気になりますから、最も適したミナミヌマエビの飼育環境を構築する事が可能になります。
それが荒木田土と呼ばれる土になります。
赤玉土、ソイル各種も、全て土を焼き固めたり、固めたものですが、荒木田土というのは、その名の通り、田んぼの土そのものであり、特に何かをしている土ではありません。
田んぼから土をとってきて、そのままパックに詰めて販売している土ですね。
そんな土がミナミヌマエビの飼育に最適なのか?と思われるかもしれませんが、これが極めて最適であり、ミナミヌマエビだけでなくて、日本国内でミナミヌマエビと同じ領域で生息する殆どの水生生物にとって、最も適した土になるのです。
ヒメタニシ、ドジョウ、メダカ、どれを取っても、荒木田土で飼育した個体は元気で大きくなりますから、その影響力がよく明るかと思います。
また、水草に関しても、赤玉土、ソイルなどとは異なり、荒木田土に入れた水草の成長速度は凄まじいものがあり、田んぼのパワーを感じる瞬間でもあります。
しかし、荒木田土は、大変高性能な効果を発揮するのですけど、ミナミヌマエビの飼育には一般的にはあまり使われていません。
その理由は簡単です。
荒木田土の水槽飼育は鑑賞には全く適さない。
荒木田土がそんなに優れた土であるなら、ミナミヌマエビの飼育をしている人であれば、殆どの人が使うのでは?と思われるかもしれません。
確かに、荒木田土は田んぼの土ですから、あらゆる生体が飼育するのに適していることには間違いはありません。
しかし、田んぼをイメージすればわかると思いますが、田んぼの土というのはとても浅い水深であっても、何かあればすぐに濁ってしまって、全く水中が見えなくなります。
田んぼのように、広大な面積を使って水量を管理している環境でしたら、水深が浅めでも問題はないのでしょうけど、水深が浅い個人向けの水槽の場合は、浅すぎる水深にしてしまうと、あっという間に水が干からびてしまいます。
また、水を追加するたびに、どのような手段を使ったとしても、必ず濁ってしまいますし、そもそも、荒木田土の水槽というのは、年中濁ってしまいますから、鑑賞すること自体ができなくなります。
これが、皆さんが荒木田土を使わない一番の原因でしょう。
鑑賞できませんので、単に水槽を置いていて、その中にミナミヌマエビが生息しているといった、状態そのものを閲覧するだけになりますから、あまり一般的ではないようです。
ただ、荒木田土で放置している水槽は、ボウフラも発生しにくくて、ミナミヌマエビも爆発的に増えていきますから、繁殖用としては向いています。
ただし、水槽の中のミナミヌマエビを救うと、ネットが荒木田土で覆われてしまって、捕獲することすら困難ですから、捕獲もしない、一切触らない水槽として使うのであれば、良いかもしれません。
それを考えると、赤玉土のほうが圧倒的に、利便性が良いため、殆どの方が赤玉土を使っている理由もよくわかりますね。
当然ですが、荒木田土は屋外水槽専用になり、ろ過装置が必須になる、室内水槽で使うことは通常は考えられません。
屋外水槽限定で、ミナミヌマエビに最も優しい荒木田土に関しては、繁殖してもそっとしておいてあげて、鑑賞もしなくてよくて、その場所でミナミヌマエビに育って欲しいといった考え方の人には最適な選択の一つになるでしょう。