日本原産の淡水の魚やエビであれば、鯉等の大型でそれを捕食する魚を除いて、どのような生体とも安心して飼育できるヒメタニシという万能型の淡水の貝がいます。
ヒメタニシは頑固な苔もあっという間に平らげてしまうくらいの水槽面の掃除をしてくれるのですが、それはすなわち、大量の草食系の餌が必要になる事を意味しますから、餌が足りなくなるとあっという間に餓死します。
その為、ヒメタニシを飼育している水槽というのは、照明を強めにして苔がある程度発生するようにしていたり、多めのタブレット餌を与えたりする事が多く、水槽内には苔が発生しやすくなっている状態になります。
もちろん、その際に発生した殆どの苔については、ヒメタニシが食べてくれる為、結果的に水槽内が苔まみれになる事は殆どありませんし、ヒメタニシも生きていけるだけの餌が用意されている為、餓死する事なく安定した飼育をする事ができます。
よくできた自然の水槽内クリーニングシステムですね。
苔を食べてくれるヒメタニシを長期間飼育していると発生する問題。
特に水槽の照明を強くしなくても、ある程度の期間が経過すれば必ず水槽内に一定の苔は発生しますから、水槽は定期的に掃除しないといけません。
意図的に照明を強くした場合は、当然、苔が発生する速度が何もしない場合よりも圧倒的に早くなるのですが、その苔はヒメタニシが綺麗に苔を食べてくれます。
ただ、細めの水草やウィローモスに発生してしまった苔は、ヒメタニシでも容易には綺麗に食べる事はできませんので、そちらは若干力不足になるのですが、ミナミヌマエビにお任せする感じすれば殆どのケースで大丈夫です。
そういった水槽内で苔が発生するサイクルと、苔を食べて生きていくヒメタニシのバランスが自然に作られた環境の中であれば、水槽のバランスも健全に保たれるという訳です。
しかし、この場合、いくらヒメタニシが苔をたくさん食べてくれるといっても、一箇所だけ問題になる場所がありまして、そちらに関してはヒメタニシではどうにもできませんし、ミナミヌマエビでも力不足で難しい部分になるんですね。
最強の苔取り能力があっても自分自身についた苔は食べれない話。
その問題が発生する箇所というのは、早い話がヒメタニシの大きな殻自身であり、いくらヒメタニシが圧倒的に苔を食べてくれるといっても、自分の殻についてしまった苔は食べる事ができませんし、ミナミヌマエビでは力不足ですから食べる事ができません。
長期間飼育しているヒメタニシはそれなりの大きさになっているはずですから、殻も大きくなっていて、その殻にはミナミヌマエビでは食べれないような頑丈な苔がたくさん付着する状態になり、酷い場合は10cm以上の藻が生える事もあります。
ヒメタニシの殻は細かな凹凸があり、一度苔が発生してしまうと容易には取れないような状態になる上に、動きも遅く殆どオブジェのような扱いになりますから、どうしても苔がつきやすくなるようです。
ヒメタニシ同士ではその苔を除去する事もできませんし、水槽から取り出して、歯ブラシなどでゴシゴシこするのは、ヒメタニシの健康にもあまり良くないため、どうしていいのか困ってしまう事もしばしば。
ただし、そういった苔が生えたり、殻に水草や藻が沢山ひっついている状態が風流であるとか、貫禄があると言って気にいる人も多いのですが、あまりに長い藻が殻についているとそれが水槽内のフィルターなどに絡まって、ヒメタニシが動けなくなる事もあります。
気がつけば良いのですが、以前、エーハイム2213を設置している水槽内のパイプに、ヒメタニシにくっついた長い藻がぐるぐる巻きに絡まって外れずに中釣りになっていた時は正直って焦りました。
その状態でそのまま放置していると、間違いなくヒメタニシは死んでしまいます。
ヒメタニシの殻についた苔を簡単かつ綺麗に除去する方法
長期間ヒメタニシを飼育していると必ず発生するのが、ヒメタニシの殻に着く苔や藻、水草の問題になるのですが、そういった問題を簡単に解決する方法があります。
それは、ピンクラムズホーンの子供を沢山同じ水槽に入れておけば、あっと今にヒメタニシの殻にへばりついて、苔や藻を片っ端から綺麗に食べてくれます。
これについては、大きく成長をしてしまったピンクラムズホーンでは体が大きすぎて実現ができませんので、まだ小さくて生まれて間もない個体をセレクトする必要上がります。
ただし、注意点としては、ヒメタニシの殻についている藻や苔を本当に綺麗に食べてしまうため、長く伸びているような藻がついている場合は、その藻が短くなってしまうか、なくなってしまいますので注意が必要になります。
また、水槽内にピンクラムズホーンが爆発的に増えてしまう場合もありますので、その水槽内でピンクラムズホーンが増えたら困る場合は、サテライトに隔離して、サテライトの水が水槽に流れる出口をウールなどで囲んでおくと良いでしょう。