水槽で魚の飼育をしている場合、シクリッドであるとかアロワナのように稚魚を親が育てたり守ったりするタイプの魚で無い限りは、産卵活動が確認できた場合は早急に卵や稚魚と親たちを隔離しないといけません。
隔離しないといけない理由はとても簡単で、単純に親が餌として卵や稚魚を片っ端から襲って食べてしまうからであり、特に卵の時はなんとか捕食を逃れていても、稚魚として誕生して水槽を泳ぎ始めた瞬間、あっという間に襲われて食べられてしまいます。
自然界の河川とか湖でしたら、それなりに広い環境ですから、親に全ての卵や稚魚が食べられてしまうことは無いのでしょうけど、狭い水槽という環境の中では、小さな稚魚はあっという間に親に見つかってしまいますから、逃れる術は無いのです。
水槽から稚魚を隔離する際にはスポイトを利用します。
水槽の中で飼育している魚が産卵活動を開始している場合は、卵の場合は水草に植えられているのでしたら、水草ごと他の水槽に隔離すれば良いのですが、水槽のガラス面に卵を産みつけている場合はそうはいきません。
卵を無理やりガラス面から剥がそうとすると、状況や魚の種類によってはそのまま卵が死んでしまって孵化しなくなる恐れもありますから、安易に剥がすのではなくて、この場合は水槽の中から卵を捕食する魚を隔離することになります。
ただ、水槽のガラス面に卵を産み付けるタイプの魚の場合、親が卵を食べることは殆どありませんので、他の種類の魚がいれば、それを隔離すれば良いだけになりますので、親も隔離しないといけない訳ではありません。
その際に、稚魚がすでに誕生している場合は、ネットで掬って隔離をしようとすると、あまりにも稚魚が小さすぎてそのままショック死してしまうことがありますので、このような場合はスポイトと使って稚魚を隔離していきます。
オトシンネグロの稚魚は孵化の後しばらくその場でじっとしています。
先日、オトシンネグロ達が水槽の中で抱卵の舞と言いますか、一斉に産卵活動を行っていたのですが、水換えをしたらいきなり産卵活動をしなくなってしまったので、少々後悔をしているところです。
オトシンネグロが水槽内で活発に動き始めて、大きなメスに一回り小さなオスが絡みついたり、水草やガラス面を積極的にゴシゴシし始めたら、ある程度卵を産み付けるまでは水換えはしないほうが良い感じです。
それでも、数十個の卵は産卵していたようなので様子を見ていたのですが、本日次々と稚魚が誕生して水槽のガラス面に張り付いたり、ソイルの中に頭を突っ込んでじっとしていたりしていました。
オトシンネグロの稚魚は、卵から孵化するまでに数日程度と大変早くて、孵化した後は数日間は大きなヨーサックがお腹にありますので、それがなくなるまでその場でじっとしている習性を持っています。
ですから、水槽のガラス面にへばりついているものや、ソイルの中に潜っているものまで色々な個体がいますので、水槽の水換えなどは全ての稚魚が隔離できるまでは行わないほうが無難と言えます。
オトシンネグロの稚魚をスポイトで隔離する際の注意点。
メダカの稚魚とは異なり、オトシンネグロの稚魚というのは、飼育の難易度が高くなりますから、そのまま誕生した水槽で放置しておくと、ほぼ100%の確率で全滅してしまいます。
その為、卵から稚魚が孵化した時点で速やかにスポイトで吸い上げて、稚魚を飼育する為の水槽、いわゆるサテライトに隔離をしていく訳ですが、その際のメダカの稚魚の感覚でやってしまうと思わぬトラブルに発展します。
具体的には、オトシンネグロの稚魚というのは何かにくっつく能力が大変高い為、スポイトで吸い上げた瞬間、スポイトの中にくっついてしまって、容易には剥がれなくなってしまうことが多いのです。
その為、メダカの稚魚の感覚でオトシンネグロの稚魚をスポイトで隔離していくと、実はスポイトの中に稚魚が残ったまま、放置してしまって稚魚が死んでしまうことも多いので注意が必要です。
また、スポイトの中でひっついてしまって、何度スポイトで水の出し入れをしても稚魚が剥がれないからといって、思いっきり力を入れてスポイトを動かしていると、稚魚がショック死してしまうこともありますから、慎重かつ速やかにスポイトから取り出さないといけません。
慣れていても、何匹かはこれで稚魚を死なせてしまうこともありますし、今回も数匹の稚魚がスポイトで移動中に死んでしまっていましたから、稚魚をスポイトで吸い上げた後には、光を当てて稚魚がどの位置にいるかを確認しつつ、水の圧力で速やかにサテライトに移動させないといけません。