安定した飼育環境で何年間飼育していても、全く産卵行動はおろか卵すら生む形跡もなく個体数も増えない謎が多いオトシンネグロなのですが、おもいっきりダイナミックに飼育水を交換すると一斉に産卵活動を行うちょっと変わった魚です。
ただ、変わった魚という意味は、水槽内で飼育してる場合を意味しますので、自然界ではそのように極端に水質が変化するような場所にオトシンネグロが元々生息していると考えるのが普通です。
オトシンネグロが生息している現地に長期間にわたって居住していて、その生息や環境などの事情に詳しい人がいれば、そういった人から詳細の話を聞くのもよろしいかと思います。
産卵を開始する際には、普段はじっとしているオトシンネグロ達が一斉に水槽内を高速で動き回りますので、ミナミヌマエビやレッドビーシュリンプなどの抱卵の舞と似たような活発的な状態になります。
オトシンネグロは水槽内でどのように産卵をするのか?
普段はじっと水槽の中で物陰に隠れていて、苔や餌を食べる時、夜間の時間帯にチョコチョコと動いているオトシンネグロ達ですが、産卵の際には一斉に抱卵の舞と呼ばれるような状態になり活発的に動き回ります。
その後は、水槽内のガラス面、水草等に透明の小さな卵を産みつけて、それがしばらくしてから孵化することになりますが、一週間くらいでしょうか?、かなり早いサイクルで稚魚が誕生してきます。
メダカなどの魚が水槽内にいる場合は、卵や稚魚を食べてしまう恐れがありますので、産卵を開始始めた場合は、速やかにメダカなどの魚をサテライトなどに隔離してください。
オトシンネグロの稚魚というのは、成魚の黒っぽい忍者のようなデザインとは全く異なり、完全透明でスケスケの小さなオタマジャクシのような姿をしていて、卵から孵化した場所で数日間はじっとして動きません。
オトシンネグロの稚魚が孵化したらスポイトでサテライトに隔離。
この時に、じっとしているオトシンネグロの稚魚をスポイトで吸い取ってから、メイン水槽に取り付けている、サテライトSかサテライトMの中にゆっくりと移動させていきます。
このスポイトで稚魚を隔離する作業を行わないと、オトシンネグロの稚魚は全滅してしまいますので、稚魚が孵化してその場でじっとしている間に必ずスポイトで隔離をしてください。
スポイトはダイソーで100円のスポイトも売られていますが、使い勝手と品質を考えると、若干高めでもスドーの赤い取っ手が付いているスポイトがお勧めです。
濾過フィルターの吸い込み口にスポンジをつけていても全くの無駄。
別に、隔離については稚魚が動き始めてからでも良いのですが、一度動き始めると結構素早くていろいろな物陰に隠れたり、濾過フィルターの吸い込み口から吸い込まれたりしますので大変です。
エーハイム2213などの吸い込み口に、稚エビ吸い込み防止用のスポンジをつけていても、どうやらオトシンネグロの稚魚はそのような細かな隙間を好むらしくてそのスポンジの隙間から吸い込まれてしまいます。
また、スポンジの目によっては、その目から中に吸い込まれてしまう場合もありました。
隔離先は小型の別の水槽でも良いのですけど、オトシンネグロの稚魚の管理というのは水質管理が結構大変ですから、出来ればサテライトを使ったほうが便利ですし、サテライトS、サテライトMを使うのにも理由があります。
なぜ?、稚魚が孵化をしたらすぐに隔離をしないといけないのか?
オトシンネグロの稚魚が孵化をすると速やかにスポイトでサテライトに隔離をしないといけない訳ですが、なぜ?、このような面倒なことをしないといけないのでしょうか?
その理由は、卵から孵化した状態で早めに隔離しないと、オトシンネグロの稚魚は全て1週間前後で餓死してしまうからであり、原因はオトシンネグロの稚魚が必要とする餌にあります。
また、オトシンネグロの稚魚は餌を捕食するのが大変下手なため、大きな水槽では餌を入れてもうまく食べることができずに結局餓死してしまいますので、なるべく小さな水槽が必要になるのです。
ただし、生まれてくる稚魚の数によっては、最初からサテライトLくらいの方が良い場合もありますし、成長に合わせてサテライトの大きさを調整したり、追加でサテライトを用意する必要もあります。
60cm水槽の場合は、前面にサテライトLを2個並べてつけれますので、うまく複数のサテライトを使うと効率が上がります。
無事に卵から稚魚が誕生して、全て隔離が終わった際には、メダカなどの魚を元の水槽に戻しても大丈夫ですし、戻しておいたほうがあとあとの管理が便利になります。
メダカはこのようなオトシンネグロの飼育の際にも大変役立つ魚です。
次回は、オトシンネグロの稚魚の育て方と餌の秘密についてご説明します。