日本原産の淡水貝であるヒメタニシというのは、自然下での生息場所が元々ミナミヌマエビが繁殖している地域と完全に共通していますので、水槽で飼育する際にも常に同じ環境で飼育することができます。
何も考えずに、単に水あわせだけを行い同じ水槽で飼育すれば良いですし、餌も共通で植物性の沈下タイプのタブレットを与えておけば良いので、とても楽に飼育をすることができます。
苔取り要員として認識されているヒメタニシは、水槽内に発生している苔をきれいに食べてくれるのですが、それだけでは餌が足りなくなることが多く、他に餌を与えないと突然死んでしまうことがあります。
ヒメタニシの飼育をしている水槽の場合は、単独飼育をしていることは殆どないでしょうから、同居の魚やミナミヌマエビの餌として、コリドラスタブレット、プレコタブレットのような植物性の餌を与えておくと良いでしょう。
余った餌などをせっせと食べてくれますので、水槽内が餌で汚れることを防いでくれまるすから、ヒメタニシに残った餌を食べてもらいましょう。
動物性の餌だけを水槽内の魚やエビに与え続けていると、ヒメタニシは食べる餌が無くなってしまって、餓死してしまいますし、見た目で餓死しそうといった判別が大変難しいので、普段から餌を食べているかの確認をしておくのも良いですね。
ミナミヌマエビとヒメタニシは、お互いが全く攻撃や捕食をすることがありませんから、安心して飼育できる個体同士であり、相性も抜群ですから、タンクメイトとしてお勧めできる生体です。
水質が安定していて、餌も適切に与えていると、ヒメタニシはかなりの年数を水槽の中で生きることになりますし、勝手に繁殖して、どんどん体も大きくなっていくのですが、状況次第でちょっと面白い状態になることがあります。
飼育していることすら忘れてしまう存在感のないヒメタニシ
水槽内にヒメタニシを投入した際には、元気に動いているかとか、どのように動いているのかとか、水槽内の苔をきれいに食べてくれるのかとか、色々と気になってみたりするものですが、しばらくするとヒメタニシを意識して見ることはなくなります。
見た目も地味ですし、動きも遅いため、ヒメタニシそのものに注目すること自体が無くなってしまって、そのうち水槽内で飼育していることすら忘れてしまうようになりますので、ヒメタニシが水槽内にいたことも覚えていない感じでしょうか?
ですから、ヒメタニシに飼育をする際には、意識的に他の魚やエビに対して、植物性タブレットの餌を事前に与えるようにしておかないと、そのうち餌不足になり餓死してしまいます。
すっかりヒメタニシのことを忘れていて、気が付いたら貝殻の抜け殻が水槽の中に転がっていたのを見つけて、あらら?といった感じで、驚くことになりますので、ヒメタニシは購入後は存在すら忘れてしまう可能性があると思っておいたほうが良いですね。
水槽内の苔取り用の貝としては大変強力なのですが、そのうちあまり苔を食べなくなるといいますか、基本茶ゴケを食べている貝ですから、緑色系の苔に関してはあまり食べてくれませんので、その苔が目立つといったところでしょうか?
このように、水槽内で目立つことなく、他の魚やエビの餌の余り物をせっせと食べていて、いつの間にか大きくなっているヒメタニシなのですが、そのような環境下で飼育していると、ちょっと変わった状態になることがあります。
水槽内のヒメタニシが仙人のようになる理由
ヒメタニシを購入後、最初は気になって見ていたけど、いつの間にか全く意識して見ることがなくなり、数ヶ月から1年くらい経過した際に、ヒメタニシが面白い状態になっていることがあり、それでヒメタニシの存在を再認識することになります。
一般的なヒメタニシというのは、貝殻が大きくなっていて、その貝殻に年季が出ているような感じになるだけなのですが、ごく稀に、貝殻から苔や水草が生えてきてしまって、それが貝殻の上で成長することにより、仙人の髭のようなものをひこずっている状態になります。
最初は、水草が動いているのでは?と思えてしまうほど、立派な水草や苔がヒメタニシの貝殻にぎっしりと付いているのですが、ヒメタニシ自体ではそれを撤去することはできませんから、永遠にひこずっていく感じでしょうか?
また、ヒメタニシの貝殻から生えている水草には、なぜか、メダカが好んで卵を産み付けるといった特徴があるようで、水草にメダカの卵をたくさん産みつけた状態でヒメタニシが水槽内をうろつくことにもなります。
ただし、すべてのヒメタニシがそうなるわけではなくて、ごく稀にそのような個体が誕生してきて、まるで仙人のような姿になっているのですが、その理由については正直ってよく分かりません。
苔が生えたり、水草が付着するほど動きが遅いことだけが理由でしたら、同じ環境下で飼育しているヒメタニシすべての個体が同様に仙人のようになるのでしょうけど、仙人のようになる個体は大抵一つの水槽で一匹のみです。
よほど、水草や苔に愛されている個体なのかどうかは分かりませんが、偶然の産物といいますか、飼育者から忘れられている自分たちを認識してもらうために、自然にそのような状態になるのかもしれませんね。
その考えについては、あくまで推論ですけど、世の中のすべての生命体というのは、絶滅を免れるために、日々進化をしたり、環境に合わせた生き方をしてきているから、現在地球上に存在しているわけです。
それを考えると、飼育者から忘れらてしまっているヒメタニシが、水槽内で仙人のような状態になっているのも、あながち偶然の産物なのかどうか?ちょっと興味が出てくる所です。
ちなみに、仙人のように水草や苔を貝殻につけているヒメタニシというのは、室内水槽の環境下のみで確認できています。
理由は良くわかりませんし、屋外でもそのような個体が出てくるのか分かりませんが、屋外の飼育個体では見たことがありません。
ヒメタニシに興味を持ち、仙人のような状態にしてみたい方は、ぜひ室内水槽にてヒメタニシの飼育を始めてみてください。