水生生物に関心を持ち、それから始めて水槽を購入してメダカやミナミヌマエビの飼育をする場合は、必ず最初にパイロットフィッシュと呼ばれる、実験動物的な魚やエビを数匹飼育するのが基本になっています。
その理由は、飼育したい魚がいたとしても濾過フィルターの中に設定しているろ材にバクテリアを付着させるまでは、濾過フィルターが単なる水を循環させる装置としてしか稼働していない為です。
濾過フィルター自体が水をきれいにする為の装置ですから、それが単なる水を巡回させているだけの装置としてしか稼働していないのであれば、どんどん水が汚れていく一方になり、結果的に魚やエビが住めない環境になります。
バクテリアがろ材に発生する2週間から1ヶ月間の間はパイロットフィッシュ。
水槽をセットして、濾過フィルターを巡回させているだけでは、バクテリアが発生する事がありませんので、その状態で1ヶ月間水槽を稼働させていたとしても、単なるカルキの抜けた安心の水道水でしかありません。
よって、バクテリアを発生させる為にはなんらかの生き物を水槽内に投入する必要があり、その生き物が水槽にいる事によって、濾過フィルターのろ材にバクテリアが付着していくといった仕組みになっています。
別になぜそうなるのか?といった専門的な事を頭をひねって考える必要はなくて、世の中の仕組みがそうなっているので、最初の水槽立ち上げ時にはパイロットフィッシュが必要になると思えば大丈夫です。
パイロットフィッシュとは、船を先導していた魚を表していた水先案内人の事ですから、まさに、水槽で何かしらの生き物を飼育する為に、自らを犠牲にしつつ案内をしてくれるのが、パイロットフィッシュなのです。
可哀想かもしれませんが、それを言っていては魚やエビの飼育自体ができなくなりますから、仕方がないと思いつつ、適切なパイロットフィッシュを入手すれば大丈夫です。
パイロットフィッシュには一切餌を与えなくても構わない。
パイロットフィッシュとはいえ、その際によく利用されるメダカ、アカヒレ、ミナミヌマエビなども普通に生き物ですから、何かしらの餌がないと当然生きていく事ができません。
安定した水槽内には、微生物や苔が自然発生するような環境がすでに出来上がっている為、最悪餌がない場合はメダカやアカヒレもそれを食べて過ごす事ができるのですが、立ち上げたばかりの水槽にはそれすら存在していません。
ただ、ある程度の大きさに成体なっているメダカやアカヒレなどは、毎日餌を食べなくても生きていけますし、極端な話パイロットフィッシュとして採用されたメダカやアカヒレには餌を一度も与えなくても構いません。
万が一死んでしまったら、また新しい個体を投入するような流れにしておき、その亡骸はネットで掬って速やかに水槽から排除して処分するような状態にしておくと良いですね。
可哀想かもしれませんが、それがパイロットフィッシュの宿命ですし、慣れていない人が一番魚やエビを死なせてしまう原因は、餌の与えすぎである事を考えると、慣れていない人はなるべく餌を与えない方が良いと言えます。
もし、パイロットフィッシュとしてミナミヌマエビをある程度水槽内にいれておけば、同じく志半ばで倒れてしまったパイロットフィッシュの亡骸を集団で食べてくれますので、できればミナミヌマエビも選定しておくと便利です。
エビの場合は初期導入時の水合わせがシビアなケースが多いので、慣れていない人の場合は、数日後に全滅する事すらあり得ますから、サテライトなどを使って慎重に水合わせをした方が無難です。
最後まで生き残ったパイロットフィッシュはそのまま育ててみよう。
パイロットフィッシュに餌を与える場合は、週に数回程度、かなり少なめに餌を与えていれば問題ありませんし、そうする事によって、強い個体の場合は最後まで生き残り、その後に水が完成した場合でもそのまま飼育する事も可能です。
この段階では、多めに与え過ぎた餌というのは、水槽の底に沈んで水カビだらけになってしまいますから、急激に水を汚す事につながりますので、そうなるくらいであれば、最初から餌は与えない方が良いくらいなのです。
パイロットフィッシュとして導入したメダカであっても、もし最後まで生き残っている個体があれば、それは大変強いDNAを持っている個体である訳ですから、その子孫を大繁殖することにより、強いメダカを大量飼育することが可能になります。
水槽が安定した際には、屋外に睡蓮鉢を用意するか、発泡スチロールを用意しておき、その中で生き残った強いメダカを繁殖させても良いかもしれませんね。
お近くの川や田んぼで捕まえた野生のメダカであれば、パイロットフィッシュとしての役割が終えた時点で、元の場所に返しても問題はありませんが、そのたのショップさんで購入したメダカは最後まで責任を持って飼育するか処分をしてください。