ミナミヌマエビの飼育に慣れてくると、メダカやタナゴを追加したり、新しい水草を追加したりして、水槽の安定度と、飼育者の経験の積み重ねに合わせて、水槽の中が賑やかになってくるものです。
そして、次に貝類も一緒に飼育したいとなるのですが、その際には大抵はヒメタニシとか石巻貝と呼ばれる、日本原産の淡水の貝を選択する方も多いのではないでしょうか?
石巻貝とヒメタニシの根本的な違いは、水槽の中で繁殖するかどうかになりますので、水槽の中で繁殖をさせたいとか、個体数を増やしたい場合は、ヒメタニシを選択することになります。
石巻貝というのは、基本的には汽水域で繁殖する貝ですから、一般的なミナミヌマエビの純淡水の飼育環境では繁殖することは出来ません。
突然変異で淡水域で繁殖する石巻貝もでてくるかもしれませんが、大抵はスネールと呼ばれるサイズの小さい似たような貝と勘違いされていることが多いようです。
スネールを好んで飼育する人はいないでしょうけど、貝の個体数を増やしたくない場合は、石巻貝を選ぶのが良いでしょう。
また、石巻貝は卵を水槽面に産みつけますから、個体数が増えないとは言っても、それが嫌な方、見るのを不快な方はヒメタニシを選択された方が良いですね。
ヒメタニシに関しては、卵を水槽面に産み付けることはまずありませんので、産みつけられている大量の貝の卵を見たくない人にとっては、最もお勧めできる貝になります。
生理的に受け付けない人の場合は、大量の貝の卵を見ると、精神的なダメージを受けてしまう人もいるかもしれません。
あとは、直接親の個体の体の中から、稚貝が生まれてくるのが、ヒメタニシの特徴になりますので、産卵シーンを見ると小さな貝が親の体から出てきますので、結構驚くものです。
私の場合は、現在は石巻貝の飼育は行っていません。
ヒメタニシも石巻貝もとても地味な貝ですから、見た目は、どちらもあまり変わりませんが、一般的にはヒメタニシの方が若干大きくなります。
ヒメタニシの飼育自体はとても簡単でも注意が必要。
石巻貝、ヒメタニシの飼育方法については、ミナミヌマエビよりも簡単であり、一般的な日本の河川でしたら、どこにでも存在していることを考えても、何もしなくても構いません。
逆に、種類によってはジャンボタニシのような外来の貝の被害を見てもわかりますが、一度その場所で繁殖して固定してしまった貝の駆除をする方が難しいくらいです。
ミナミヌマエビの水槽にドボンで入れておくだけで、あとは勝手に生息したり、繁殖をしたりするのですが、ある注意点があります。
貝の仲間というのは、想像以上に大食感ですから、水槽の中の苔だけで良いと思って、苔取り用で飼育していると、いつのまにやら餓死してしまっていることがあります。
最近、ヒメタニシを見ないな・・・。どこかに隠れているのかな?と思っていたら、実は死んでいて、ソイルや大磯の下に埋まっていたといったことすらあります。
冬場でしたら、屋外水槽の場合は、冬眠といった状態になっていることもあるかもしれませんが、室内水槽でしたら、ヒメタニシが冬眠することは殆どありません。
ヒメタニシが死んでしまう原因は、殆どが餌不足です。
水槽の苔取り用として投入した場合でも、一定の個体数を超えている場合は、コリドラスタブレット、プレコ用のタブレットを必ず与えておいた方が良いでしょう。
ミナミヌマエビも一緒に食べますし、ミナミヌマエビが食べれなかった残りも食べてくれますので、水槽の水が汚れるのを防いでくれます。
ヒメタニシの稚貝が死んでしまう際の対策。
どのような環境であっても、普通に力強く生息してくれるヒメタニシですが、餌が足りないといきなり死んでしまいますので、コリドラスタブレットを与えることになります。
しかし、それは成体になった個体の場合です。
生まれて間もない稚貝の場合は、親とは餌が違うのかもしれませんが、室内水槽ではなかなか大きくなってくれずに、コリドラスタブレットなどを与えていても、大抵が途中で死んでしまうことになります。
特に、大磯メダカ、ミナミヌマエビ飼育水槽では、その傾向が強いようです。
ですから、ヒメタニシの場合は、何回稚貝が生まれても、すぐに死んでしまう人の場合、太陽の光が直接当たる屋外水槽に稚貝を移した方が良いかもしれません。
ミナミヌマエビがメインである室内水槽で、ヒメタニシの稚貝を大きくするのはかなり大変です。
メタハラを装備して、強烈な光を当てて、細めのソイルを敷き詰めて管理している水槽なら別かもしれませんが、ミナミヌマエビの飼育がメインの場合は、そうはいきませんからね。
誰でも簡単にヒメタニシを急激に大きくする方法。
稚貝の室内飼育に関しては、実は案外難しいヒメタニシですけど、誰でも簡単に高確率で大きくしたり、生存率を最大限まで高めて、普通よりも早い速度で大きくする方法があります。
その方法とは、いたって簡単で、荒木田土を敷き詰めた水槽に投入するだけです。
あとは屋外で放置しておけば、勝手に大きくなっていくのですけど、その成長速度は他の飼育環境と比べても極端に早くて、いつの間にやら稚貝が大きな貝になっているほどです。
また、程んど稚貝が死ぬこと自体がありませんから、驚きですが、これが日本の田んぼの力なのでしょうね。
ミナミヌマエビもその荒木田土の水槽に入れてあげると、勝手に繁殖を始めますので、相性も抜群ですから、屋外水槽を設置するなら、できれば一つは荒木田土の水槽を用意しておきたいものです。
私の場合は、荒木田土を10cmくらい底面に敷き詰めて、ミナミヌマエビ、ドジョウ、ヒメタニシ、メダカの飼育を行っていますが、相当安定している水槽です。
水草の成長も他と比べて、異常に早いですから、駆除をするのが大変なのがネックと言えます。
ヒメタニシの飼育、繁殖に困った場合は、屋外水槽で荒木田土を用意すれば大丈夫ですが、これには致命的なデメリットがあり、観賞用としては全く適していませんので、それは割り切る必要があります。