あらゆる魚の稚魚の餌として大変有効なのがブラインシュリンプであり、魚の種類を問わずブラインシュリンプを与えてみると、他の餌では全く食いつかなかった稚魚たちが一斉にブラインシュリンプを食べている光景を見ることが多く、正に最適な餌です。
プレコやオトシンなどの草食系の魚であっても、稚魚の時には動物性のプランクトンであるブラインシュリンプを食べて成長していきますので、子供の時と成長した時の餌が違う典型的な魚になってしまうのですが、ブラインシュリンプは万能的に使えます。
メダカの稚魚であってもブラインシュリンプを餌として与えてみると、成長速度が大変早くなり他のあらゆる餌よりも栄養価が高いことがわかりますし、ブラインシュリンプを食べた稚魚たちはお腹がオレンジ色になっているのですぐに状態も把握できます。
稚魚の餌に最適なブラインシュリンプは何故栄養価が高いのか?
あらゆる魚の稚魚の餌として利用可能なブラインシュリンプなんですけど、何故?この餌の栄養価が高いのかと言えば、ブラインシュリンプを孵化させてみると、何だかオレンジ色の袋のようなものをぶら下げて泳いでいるのを確認できそれに秘密があります。
ブラインシュリンプのお腹にぶら下がっているオレンジ色の袋のようなものは、ヨーサックと呼ばれている栄養が濃縮された袋であり、ブラインシュリンプはこの袋の栄養分を使って成長していくのですが、このヨーサックの栄養価が大変高いのです。
見た目がオレンジ色ではちみつが濃縮されたようなブラインシュリンプのヨーサックですから、栄養価が高そうなのは見た目だけでも判断ができるくらいなんですけど、このヨーサックがあるので、ブラインシュリンプは稚魚の餌として有用になるのです。
成長したブラインシュリンプの栄養価はどんどん低くなります。
ブラインシュリンプは卵から孵化させるまでに24時間ほど必要ですが、ソルトを使って汽水領域の塩分濃度に設定して、適切な照明と強力なエアレーションを利用し続ければ勝手に大量に孵化してくれますので、その孵化した直後の状態が栄養価が高いです。
時間が経過すると、お腹のオレンジ色のヨーサックの栄養をどんどん使ってブラインシュリンプ自体が成長していくことになり、しばらくするとヨーサックが完全になくなり、ブラインシュリンプは単なる動物性の餌になってしまうので栄養価が落ちます。
ブラインシュリンプそのものは孵化してから数週間、数ヶ月位は普通に生きるんですけど稚魚の餌として最適なのは孵化した直後のブラインシュリンプであり、オレンジ色のお腹のヨーサックがなくなってしまうと他の餌と余り変わらない普通の餌になります。
ブラインシュリンプを毎日孵化させるのには理由があります。
初心者の人からよく質問をいただくのが、ブラインシュリンプを毎日孵化させるのは大変面倒なので、孵化後の寿命が数週間も持つのであれば、大量に孵化させてからそのブラインシュリンプを少しずつ餌として与えていれば、毎日の手間暇がなくなるのでは?
このような質問内容になるんですけど、稚魚の飼育に慣れている人であれば、必ず毎日のようにブラインシュリンプを孵化させることになりますので、週に一回だけ孵化させておき、それを貯めて使いまわすことをしている人がいないのには理由があります。
その理由というのは、既にご説明しているブラインシュリンプが孵化した際にお腹に付けているヨーサックの栄養価が大変高いので、それを稚魚に食べさせることに意味があるわけですから、ヨーサックがなくなったブラインシュリンプでは意味がありません。
紅の豚って有名なジブリの作品の中で、「飛べない豚はただの豚だ」って台詞がありましたけど、ヨーサックが無くなったブラインシュリンプはタダの餌になってしまい、態々ブラインシュリンプを孵化させる意味が無くなりますので、毎日孵化を行います。